専用スクリーンや自宅の壁を利用して、まるで映画館に来ているかのような迫力映像を楽しむことができるプロジェクター。一昔前まで、プロジェクターは画質の問題や設置の難しさなどから一部のマニア向けの商品と思われていましたが、近年は技術の進歩により、誰でも気軽に導入できるようになりました。
しかし、光を投影して映像を楽しむという仕組み上、設置方法や見やすくするための基本的なポイントがあります。そこで今回は、プロジェクターの最適な設置方法について、詳しく解説していきます。
プロジェクターの設置タイプは3種類
プロジェクターの設置タイプには、主に「天井吊り下げ型」「卓上型」「照明一体型」の3種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
天井吊り下げ型
天井吊り下げ型のプロジェクターは、その名のとおりプロジェクターを専用の器具で天井から吊るし、設置します。
一度設置してしまえばそこで固定することができるため、使用時のピント調節などが必要ないというメリットがあります。加えて、天井に設置しているため生活スペースの邪魔にならず、家具の配置場所の自由度が増したり、掃除の際の手間を少なくしたりできるというのもポイントです。
デメリットとしては、専用の器具を購入しなければならない分、コストがかかるという点が挙げられます。器具は安いものであれば数千円程度の手頃な物もありますが、耐荷重や機能を求めると数万円程度する物もあるため、目的やこだわりに応じてある程度のコストは覚悟しておいたほうが良いでしょう。
また、状況によっては、天井の補強工事が必要になったり、賃貸物件の場合はそもそも取りつけや補強工事を禁止されていたりする場合もあります。天井吊り下げ型で設置したい場合は、そうした周辺情報も事前に集めておくことが重要です。
卓上型
卓上型のプロジェクターは、机や床などに直接プロジェクターを設置します。
メリットとして挙げられる点は、天井吊り下げ型のように専用の器具などを購入せずに、設置ができるという点です。一番簡単な設置方法ですので、購入してすぐにプロジェクターを利用することができるでしょう。
一方で、設置する場所や壁までの距離、角度をうまく調整しないと、希望の画質や見やすさになりにくいというデメリットもあります。また、どうしてもプロジェクター本体に場所を使ってしまうため、そのほかの家電や家具の配置場所も検討する必要が出てきます。
また、別売りのアイテムとして、プロジェクター台という、プロジェクターの設置に特化した台座が販売されています。それを利用して、角度やピントを調節しやすくするという方法もありますが、コストや収納場所などが必要になります。
照明一体型
照明一体型のプロジェクターは、照明機能がついたプロジェクターを、そのまま天井照明の代わりに設置します。
専用のアダプターを使ってシーリングライトと取り替えるだけで設置が完了するため、天井吊り下げ型のような専用の器具や工事も不要で、かつ設置場所に困らないというのが最大のメリットです。
また、コードの配線なども不要となり、見た目に美しい点も評価のポイントとなるでしょう。
設置する部屋はどれくらいの広さが必要?
プロジェクターの設置方法について解説してきましたが、設置環境における注意点は、以下のようなものが挙げられます。
画面サイズと投写距離
プロジェクターはテレビとは異なり、スクリーンに映像を映し出していますので、投写距離が重要です。この距離をしっかり確保できないと、画面サイズを大きくすることができなかったり、ピントの調節がうまくできなかったりしてしまうため、プロジェクター本来の魅力である、大画面で美しい映像を楽しむことができません。
投写距離とスクリーンサイズは、プロジェクターの種類やメーカーによってそれぞれ異なりますが、80インチ程度のスクリーンサイズを実現するためには、およそ2~3mほどの距離が必要なモデルが多いため、そこから逆算する形で設置場所を考えるようにしましょう。
短焦点プロジェクターは数十cmで80インチのスクリーンサイズも可能
プロジェクターは欲しいけれど、あまり大きなスペースを確保することができないという人には、短焦点プロジェクターを使う方法があります。短焦点プロジェクターは、プロジェクターの種類のひとつですが、通常のプロジェクターに比べて短い投写距離で映像を映し出すことが可能です。
種類によっては、スクリーンから30cmほど離すだけで80インチの大画面を楽しむことができるなど、設置場所の自由度はかなり高くなります。
しかし、画面がゆがみやすいというデメリットがあり、それを解消するためには専用のスクリーンを用意する必要があります。
設置するときの注意点は?
プロジェクターを設置する際に注意しなければならないポイントには、どのようなものがあるのでしょうか。
本体が固定できているか
プロジェクターは精密機械のため、衝撃に強くありません。また、映像を投影するという仕組み上、少しの揺れにも敏感に反応します。天井吊り下げ型や照明一体型であれば、最初の設置の際にしっかりと固定していれば心配はありませんが、卓上型の場合は人の手にふれやすい所に設置するため、ぶつかったり、万が一落下させてしまったりすることがないよう、細心の注意を払う必要があります。
投写距離が確保できているか
プロジェクターは最適な投写距離を確保していないと、美しい映像を大きな画面を楽しむことができません。プロジェクター購入前にしっかりと製品のスペックを確認し、設置予定の場所やスクリーンまでの距離を測っておくなど、準備をしておくことが大切です。
水平な設置ができているか
プロジェクターが傾いた状態でスクリーンに映像を投影すると、画面に歪みが生じてしまい、気持ちの良い映像を体験することができません。投写距離を確保することはもちろんですが、スクリーンや地面に対して傾きのない状態で置けるかどうかも事前に確認するようにしましょう。
プロジェクターの基礎を知り、失敗しない選択をしよう
プロジェクターの設置方法や、設置の際の注意点について解説してきました。プロジェクターといっても、その種類はさまざまで、それぞれメリット・デメリットがあります。
なお、照明一体型のポップインアラジンなら、天井に取り付けるため、その存在が邪魔になることもありません。投影面の明るさや画質を考えて設置を考慮した場合、1.27mあれば40インチ程度の画面で楽しむことができます。
プロジェクターを快適に楽しむための基礎知識を知っておき、重視するポイントと妥協できるポイントはどこなのかを整理した上で、ベストなプロジェクターを選んでみてはいかがでしょうか。